オルターガイストの世界へようこそ!!
この記事を開いたということは、あなたは少なからずオルターガイストというデッキに興味を持って、この辺鄙なブログに来てくださったことだと思います。
ここではそのオルターガイストというデッキの概要を、ごく一部かいつまんで紹介いたします。
この記事があなたがオルターガイストを握るかを決める際の参考資料となれば、幸いです。
概要
オルターガイストは2017年(10期)に初登場した、罠とリンク召喚を駆使して戦うテーマです。
初登場当時はパッとしなかったものの、徐々に追加された新規(特にマルチフェイカー)によって一時は環境を取り、暴れ過ぎたせいで規制を喰らっていた波乱の歴史があるテーマです。
戦術としては一言でいうと、
「リンクと罠を扱うミッドレンジ~コントロール寄りのビートダウンデッキ」
であり、罠で相手の行動を制限しつつサーチ・リクルート・墓地回収・蘇生などのあらゆる方法でリソースを稼いで戦線を維持し、相手を徐々に制圧、リソース切れへと追い込むことが得意なデッキです。
また、最近では12期から登場した黒魔女ディアベルスターとそれにまつわる罪宝関連カード、いわゆる「罪宝ギミック」を採用した罪宝型と呼ばれるデッキタイプも存在します。
また、全てのオルターガイストモンスターが魔法使い族で統一されているのも特徴です。
なので魔法使い族をサポートするカード(魔法族の里など)の恩恵を得られたり、群雄割拠を採用しても全く邪魔にならないのも強みになるでしょう。
代表的なカード
オルターガイストには粒ぞろいのカードが揃っていますが、その中でも特に重要なカードを紹介していきます。
オルターガイスト・マルチフェイカー
効果モンスター
星3/闇属性/魔法使い族/攻1200/守 800
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分が罠カードを発動した場合に発動できる。
このカードを手札から特殊召喚する。
(2):このカードが特殊召喚した場合に発動できる
(この効果を発動するターン、自分は「オルターガイスト」モンスターしか特殊召喚できない)。
デッキから「オルターガイスト・マルチフェイカー」以外の「オルターガイスト」モンスター1体を守備表示で特殊召喚する。
過去のオルターガイストというテーマを環境にまで押し上げたパワーカードです。
このマルチフェイカーが登場するまで、オルターガイストは自身で展開できる効果を持つモンスターがほとんどおらず、召喚権の取り合いになっていたり、初動が異常に遅いという、リンクデッキとしては致命的な欠陥を抱えていました。
ですが、このカードによりオルターガイストは一気に展開力を獲得し、環境の一角を勝ち取っていくことになります。
効果の方ですが、①は罠を発動した場合に特殊召喚できる効果で、後述するプロトコルやその他どんな罠でもトリガーとなります。ちなみにテキストは「場合の任意効果」ですのでタイミングを逃さず、罠を開いて一連のチェーン処理が終わってから効果を発動することになります。
②は特殊召喚成功した場合の効果で、他のオルターガイストモンスターをデッキから特殊召喚するという強力な効果を持ちます。
これで相手を妨害するシルキタス、展開要員として優秀なメリュシークなどを出し、徐々にアドバンテージを獲得していくのが、オルターガイストの代表的な戦術となります。
効果モンスター
星2/風属性/魔法使い族/攻 800/守1500
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分・相手ターンに、自分フィールドの他の「オルターガイスト」カード1枚を手札に戻し、
相手フィールドのカード1枚を対象として発動できる。
そのカードを手札に戻す。
(2):このカードがフィールドから墓地へ送られた場合、
自分の墓地の「オルターガイスト」罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを手札に加える。
効果モンスター
星1/水属性/魔法使い族/攻 500/守 300
このカード名の(3)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードは直接攻撃できる。
(2):このカードが相手に戦闘ダメージを与えた時、相手フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを墓地へ送る。
(3):このカードがフィールドから墓地へ送られた場合に発動できる。
デッキから「オルターガイスト・メリュシーク」以外の「オルターガイスト」モンスター1体を手札に加える。
ただし、マルチフェイカーの②の効果を使用するターンは「オルターガイスト」モンスターしか出せないというものすごく重い制約がつきます。それ故にオルターガイストは混ぜ物デッキにしづらいという事情があります。
ですが、それを鑑みても「コスト・効果無効無しのリクルート」という強力な効果であることは間違いなく、現在でもオルターガイストにおいては3積み必須のカードといえます。
オルターガイスト・プロトコル
永続罠
このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、自分フィールドの「オルターガイスト」カードの効果の発動及びその発動した効果は無効化されない。
(2):相手がモンスターの効果を発動した時、
このカード以外の自分フィールドの表側表示の「オルターガイスト」カード1枚を墓地へ送って発動できる。その発動を無効にし破壊する。
オルターガイストを代表する罠カードです。
①はプロトコル自身が魔法罠ゾーンに存在する限り、自分フィールドのオルターガイストカードの効果の発動と効果の無効化がされないという超強力な耐性を付与することができます。
これにより、例えば先ほど紹介したマルチフェイカーの②の効果に対するうららや無限泡影も、このカードがあれば無効化されずに効果を通すことができます。
プロトコル自身が永続罠なので、好きなタイミングでフェイカーの①の効果を満たしに行ける点からしても、フェイカーとプロトコルは非常に相性のいいカードとなっています。
ただしあくまでフィールド上ですので、墓地効果に対する無効は防げない点は注意しましょう。
②の効果は妨害効果となっており、オルターガイストカード1枚の墓地送りをコストとして相手のモンスター効果を無効破壊する効果を持っています。
妨害効果としては一級品の強さで、かつコストさえあれば永続罠ゆえに毎ターン打っていくことができるのが非常に優秀です。
またオルターガイストカードは墓地効果を持つものが非常に多く、プロトコルのコストに墓地効果持ちを送ることで、ディスアドバンテージを軽減することができます。
例として、先ほどマルチフェイカーの項でも挙げたメリュシークというモンスターがいますが、これを墓地に送る事によって、オルターガイストモンスターのサーチを行うことができます。
これにより後続確保を行ったり、追加の妨害を構えたりすることで、妨害しつつリソースを切らさず戦っていけるのが、オルターガイストの強みとなります。
オルターガイスト・ヘクスティア
リンク・効果モンスター
リンク2/炎属性/魔法使い族/攻1500
「オルターガイスト」モンスター2体
このカード名の(3)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードの攻撃力は、
このカードのリンク先の「オルターガイスト」モンスターの元々の攻撃力分アップする。
(2):魔法・罠カードの効果が発動した時、
このカードのリンク先の「オルターガイスト」モンスター1体をリリースして発動できる。
その発動を無効にし破壊する。
(3):このカードがフィールドから墓地へ送られた場合に発動できる。デッキから「オルターガイスト」カード1枚を手札に加える。
オルターガイストの強力なリンク2のモンスターです。
オルターガイストのリンクモンスターには様々なモンスターがいますが、一番お世話になることが多いカードになります。
効果は3つ持っていまして、まず①の効果はリンク先のオルターガイストモンスターの攻撃力を参照して、自身の打点を上昇させる効果となっています。
この上昇幅がバカにならない数値で、例えばマリオネッターをリンク先に出した場合、ヘクスティアの攻撃力1500にマリオネッターの1600を足して、3100という驚異の打点を叩き出すことができます。
このほかにも、条件が揃えば4000以上の打点を確保することもでき、相手のモンスターの戦闘破壊、およびライフカットに大きく貢献してくれます。
②はリンク先のオルターガイストモンスターをリリースすることで、魔法罠の無効破壊を行うことができます。遊戯王によくある妨害効果ではありますが…この効果の恐ろしいところとして、なんとこの効果には同名ターン1制限がついていません。
つまり、リンク先にオルターガイストモンスターを供給する手段が存在する限り、永遠に相手の魔法罠を無効破壊し続けることができます。実質ナチュルビーストと言っても過言ではないでしょう(過言)。
そして③の効果は自身が墓地へ送られた場合に、オルターガイストカードをサーチする効果があります。
先ほど挙げたメリュシークとは違い、モンスターだけでなく罠もサーチできますので、先述したプロトコルなども持ってこれます。オルターガイストデッキを回す際に必須となる能力です。
このように打点確保、妨害、リソース確保全てを行えるカードであり、リンク2というお手軽さも相まって、エクストラデッキにおけるオルターガイストのエースモンスターと言えます。
オルターガイスト・マルウィスプ
チューナー・効果モンスター
星3/光属性/魔法使い族/攻1500/守 0
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードがドロー以外の方法で手札に加わった場合に発動できる。このカードを特殊召喚する。
(2):このカードが召喚・特殊召喚した場合、
「オルターガイスト・マルウィスプ」以外の自分の墓地の「オルターガイスト」モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。
このターン、この効果で特殊召喚したモンスターの効果は発動できない。
オルターガイストは2023年4月に発売されたパック「デュエリスト・ネクサス」において4種類の新規カードが登場しています。そのうちの1枚がこのマルウィスプとなります。
まず①の効果として、ドロー以外で手札に加わった時に特殊召喚できる、いわゆる「ポプルス効果」と呼ばれているものです。ちなみにマルウィスプの方がポプルスより先輩のカードだったりします。
オルターガイストではメリュシークやヘクスティアなどのサーチ効果からこれを持ってくることで、そのまま特殊召喚することができます。
そして②は召喚・特殊召喚した場合に、墓地からオルターガイストモンスターを守備表示で特殊召喚する効果となっています。
残念ながら守備表示と指定されているのでリンクモンスターの蘇生はできず、また蘇生したモンスターの効果はターンを跨がないと使うことができません。なので基本的にはリンク値を伸ばすために使用していくことになります。
総合すると、オルターガイストのリンク値を伸ばすことが得意なカードデザインとなっており、サーチして特殊召喚+蘇生で雑に2つ分リンク値を伸ばすことができます。
このカードの追加により序盤メリュシーク1枚からの動きが強化され、またコントロールし切った後の爆発力・展開力が大きく向上し、弱った相手を仕留める能力が大幅に上昇しました。
さらに初手メリュシーク+プークエリなど、カードが揃っていればこのカードを経由して展開系デッキばりの展開を行い、先攻制圧で相手を倒す芸当もできるようになりました。
2つのオルターガイストの型
罠型
オルターガイストテーマ内の強力な罠に加え、群雄割拠やスキルドレインなどの罠を使って相手の動きを妨害・制限しながら、マルチフェイカー等を駆使してリソースを稼いでいき、徐々に相手を追いつめていくデッキタイプとなります。
オルターガイストネームが多いため、プロトコルやスプーフィングを生かしやすく安定感があり、始めたての人でも動かしやすい型となっています。
また採用されるカードも大体固定化されており、プレイングを磨けば一定の勝率は出せると思いますので、構築が苦手な方にもおすすめです。
初手からめちゃくちゃ展開することも少ないため、Gフワロスなどの誘発に非常に強いのも嬉しいポイントです。
一方で、罪宝型と比べると安定感と引き換えに手数が少なく、初動の動き出しが遅いのが弱点で、初手から手数を多く出してくるデッキに対しては、永続罠などで制限できないと苦しい戦いになるでしょう。
罪宝型
黒魔女ディアベルスターとその効果でセットできる罪宝カードを使用して、オルターガイストの動きの幅を広げたデッキタイプです。
特筆すべきは原罪宝-スネークアイで、オルターガイストではペリネトレータというモンスターがレベル1炎属性モンスターなので原罪宝で出していくことができます。
これにより召喚権を使わずオルターガイストネームを供給できるため、例えば…
- メリュシーク召喚してえげつない先攻制圧盤面を作りに行く
- ペリネトレータをリンクリボーで墓地へ送り、リバイタリを落としてさらに召喚権の供給
- メリュシークを落としてマルウィスプやマリオネッター召喚で蘇生してリソースを稼ぐ
…など、できることがかなり広がり、罠型よりも手数や爆発力が出ます。
他にも罪宝の欺きを入れてアザミナ融合モンスターを出したり、反逆を入れて後手の手数を出せるようにしたりなど、罪宝カードによって様々な動きが可能になります。
反面、オルターガイストネームがどうしても少なくなり、また引きたくないカードが増えるため、事故を起こした時のリカバリーが効きにくく、トップ勝負が弱くなりがちです。
罪宝カードの種類だけプレイングも複雑化するので、それら特有の動きも覚えないといけず、またオルターガイストと罪宝カードの採用比率の塩梅が難しく、構築面の難易度も高いです。
総じて、罠型よりも玄人向きのデッキタイプとなっています。
このほかにも、現在「白き森」や「魅惑の女王(アリュール・クイーン)」がオルターガイストとシナジーがあることが判明しており、今後また新たなデッキタイプが作られたりすることもあるかもしれません。
弱点
墓地へ送る代わりに除外するカード
罠型と罪宝型で共通する弱点としては、墓地効果を主体にリソースを稼いでいくため、「次元の裂け目」や「マクロコスモス」などの墓地除外カードが弱点となります。
ディアベルスターの特殊召喚やプロトコルの無効効果を発動するためにはコストとしてカードを「墓地へ送る」必要がありますので、こういった墓地除外カードを使われると機能が停止してしまうのです。
1ターン程度であればやり過ごせる場合もありますが、継続的にこの状態が続いてしまうとリソースが切れてしまい、そのまま負けてしまうこともあります。
手札事故を起こす可能性がやや高め
罠型ではオルターガイストモンスターと罠をバランス良く引かないといけない、罪宝型では素引きしたくないカードが増えるため、初手で手札事故を起こす可能性がやや高いです。
オルターガイストはデッキに眠っていて欲しいカードも多く、そういったものを素引きしてしまうと初手動けなかったり、リソースが切れてジリ貧になったり、最悪オルターガイストの一部の機能が停止したりします。
罠カードへのメタカード
オルターガイストの強さの根幹を支えているのは罠カードですので、その罠カードを破壊したり、封じてくる相手は苦手な傾向にあります。
(余談ですが、私はデスフェニが大嫌いです。今でも許せない)
汎用カードから見ると、ハーピィの羽箒やライトニング・ストーム、レッドリブートなどを撃たれるとかなりつらくなります。
特に罠型は初手にヘクスティアによる魔法罠を構えづらいので、致命傷となりえる場合が多々あります。
デッキとしての難易度
本来であれば初心者でもおすすめ…と言いたいところですが、オルターガイストは罠型・罪宝型両方とも甘く見積もって中~上級者向けのデッキとなっています。
罠型:対面の知識、プレイング練習が必須
罠型の場合は、効果的に相手を妨害しに行くために環境や相手対面に対する知識や理解を要求されますし、さらに環境によって適切な罠カードを選ぶ必要があります。
もっと踏み込むと、コストや効果処理時の裁定すらも武器にする必要があります。
そこに加え、「マルチフェイカーのリクルート先をどうするか」「何をコストにオルガカードの効果を発動するか」などの考える要素が多かったり、スプーフィングを交えた独自のトリッキーな挙動などもあるので、プレイングに慣れるのに時間がかかる…などの要因が難しくさせています。
罪宝型:展開プランの作成、構築などの事前準備が重要
一方、罪宝型は相手対面に対する知識はもちろんですが、それ以上にデッキの構築力や戦術・展開プランの作成、そしてプレイング面では罪宝関連カードとオルターガイストを交えた挙動が難しいです。
罪宝オルターガイストは実のところ、罠型と違い決まった構築のテンプレが余り存在せず、人によってかなりオルターガイストカードや罪宝カードの採用にばらつきがあります。
そのため、戦術や展開のプランを自分で作成し、それに沿って採用するカードに対して理由付けができないと、中途半端なデッキになってしまいがちです。
プレイングも罠型の知識とプレイングに加え、各種罪宝カードを用いた展開・妨害方法を覚えないといけませんし、オルターガイストは墓地リソースが重要なデッキなので、罪宝カードを動かす際のコストも慎重に決めないといけません。
まとめると、罠型は知識とプレイングが、罪宝型はそこに加え構築がかなり難しい目のデッキとなります。
いきなり初心者が握っていいデッキかと言われると、首を縦には振りづらいですね。かなり慣れがいるデッキに分類されると思います。
プレイヤースキルが上がれば、オルターガイストは応えてくれる
しかし逆に言えば、オルターガイストはプレイヤーのスキルがそのまま強さに出やすいテーマとも言えます。
対面のデッキの知識を学ぶことで、効果的なメタカードを採用したり、より少ない妨害数で相手の展開を効果的に止めることができるようになりますし、プレイングを磨くことで消費を抑えて展開したり、より多くのリソース回収ができるようになります。
罪宝型においても、構築を見直し展開ルートを考えていけば、より多くの妨害を初手に並べることもできますし、上振れた際の妨害追加・後続確保を行うことも容易になると思います。
また、罪宝型は罪宝カードが追加されればそれだけやれることが増えるということでもあるので、将来性もある型となっています。
このように、オルターガイストは使いこめば使い込むほど味の出るテーマとなっています。
一つのデッキを極めることが好きな職人気質の方には、特におすすめしたいデッキとなっています。
まとめ
というわけで、簡単にではありますがオルターガイストの紹介をさせて頂きました。
この記事が参考になれば幸いです。